支部長挨拶

再 開

コロナ禍の影響が続き、音楽活動を続ける上での様々な不自由や困難がある中、昨年度は無観客ではあったものの全国大会の予選会を実施することができました。今年度も影響が残る中、社会の空気が再開に向かう中、なんとか従来のマーチングバンドフェスティバルを開催すべく計画しているところです。ただし、従来の形式といっても、コロナ対策をはじめ、働き方改革、部活動の地域移行、SDGsなど多くの社会的変化があり、もはや以前の踏襲による中途からの再開ではなく、0からの再開、リスタートが必至な状況となっています。

この2年間、北海道においては、加盟団体の活動自粛や移動・イベントの制限により、マーチングの組織自体が機能不全に陥っていました。この機能を修復するためには、道内各地区・各団体の互いの長所を今一度重ね合わせる積極的な視点が必要となります。各団体のマーチングに対する関わり方に関する情報は、組織それ自体から産出されますが、他からの情報は自らの関わり方自体を変えていくことになります。他の組織との関わりの中でこそ、自組織が変化を遂げるということです。それゆえ、ネットワークを今一度再構築し、コミュニケーションを充実させることこそが北海道地区にとって大切なこととなっています。大会運営を中心にこの再構築を試みます。

ただし、実際の活動を維持するのはあくまでも個人であり、参加する個人の組織に対する考え方や価値観が活動に反映されることとなるので、組織としては、これまで以上に多様性を尊重していくことが重要となります。

昨今の、社会の変化の速さや不確かさも多様性を尊重するための土壌となっているように思いますが、もともとマーチングは音楽表現において、個々の多様性を全体の中に包括し、全体としての多様性を発揮する活動でした。リスタートにおいては、個人および所属団体の多様性をさらに広く認め、大会への参加形態や組織の運営形態を考えていく必要があります。

この多様性を認めた上で、全体が一つになって進んでいくためには、ビジョンが必要です。リスタートにあたり、自分のマーチングの活動を振り返ったとき、その原動力となっているのは、

マーチングをはじめたい

マーチングをやってよかった

マーチングを続けたい

マーチングを広めたい

という「想い」だと思います。

こんな「想い」を大事にしながら、北海道支部では本部の全国大会の開催方式に寄り添う形で、日々の活動を柔軟に執り行い、様々な距離を保ちつつ「心」を通わせていきたいと思います。今後とも北海道支部に対するご指導とご鞭撻を賜りたく、宜しくお願い申し上げます。

日本マーチングバンド協会北海道支部
支部長 山 田 真 澄